東北の建設業M&Aと会社売却|復興後の生存戦略と相場・経審評価のポイント
東北で建設業・土木業のM&Aを検討中の経営者様へ。本記事では、震災復興後の業界動向、経営事項審査や有資格者の評価ポイント、許認可を引き継ぐスキームを徹底解説します。
目次
「震災復興工事が落ち着き、今後の公共工事の見通しが立たない」 「若い職人が入ってこないし、ベテランの引退で資格者が足りなくなる」
東北地方の建設業界は今、かつてない転換期を迎えています。長年、地域のインフラを守ってきた経営者様の中には、人手不足や2024年問題への対応に頭を悩ませ、事業承継の決断に揺れている方も多いのではないでしょうか。
実は今、東北の建設業者は、全国の買い手企業から最も欲しいM&A対象として注目されています。なぜなら、建設業許可や入札資格、そして何より現場を回せる技術者は、お金を出しても一朝一夕には手に入らない貴重な資産だからです。
本記事では、東北エリアの建設業界におけるM&Aの最新動向から、経営事項審査などの専門的な評価ポイント、そして許認可をスムーズに引き継ぐための具体的なスキームまでを網羅的に解説します。廃業という選択をする前に、御社が持つ見えない価値に気づき、次世代へバトンを繋ぐための戦略としてお役立てください。
東北の建設業界におけるM&A動向
東北6県における建設業界は、震災復興需要による特需が収束し、平時の市場環境へと回帰する中で、激しい構造変化の波にさらされています。
最大の課題は人手不足と働き方改革の同時進行です。2024年4月から建設業にも適用された時間外労働の上限規制により、これまで通りの工期や人員体制で現場を回すことが困難になっています。さらに、若手入職者の減少とベテラン技術者の高齢化が進み、工事の引き合いはあるのに、施工管理技士が足りなくて受注を断らざるを得ないという事態が常態化しています。
帝国データバンク等の調査によると、東北の建設業者の廃業件数は高水準で推移しており、その多くが後継者不在を理由としています。単独での存続や採用活動に限界を感じた経営者が、大手や中堅企業のグループに入ることで、人材確保やバックオフィス業務の効率化を図ろうとする動きが加速しています。このように、M&Aは単なる身売りではなく、変化の激しい時代を生き抜くための業界再編として、東北全域で急速に普及しています。
東北の建設会社を売却するメリットと買い手の狙い
M&Aは売り手と買い手の双方に明確なメリットがあるからこそ成立します。特に東北の建設業M&Aにおいては、それぞれのニーズが合致しやすい構造にあります。
売り手:連帯保証の解除と従業員の雇用維持
建設業の経営者にとって、最も重い心理的負担は借入金の個人保証です。重機や車両の購入、工事の立て替え資金などで膨らんだ数億円規模の借金があるため、家族や従業員には継がせたくても継がせられないのが実情です。
M&Aで株式を譲渡すれば、この個人保証を買い手企業に引き継ぎ、経営者個人は債務から解放されます。これは、安心してリタイア生活を送るための必須条件です。
また、資本力のある大手グループの傘下に入ることで、従業員の給与水準や福利厚生が改善され、若手社員の離職を防ぐことができる点も大きなメリットです。自分が引退しても、社員たちが路頭に迷わないようにすることこそが、多くの経営者がM&Aを選ぶ最大の理由です。
買い手:有資格者(施工管理技士)とエリア拠点の確保
買い手企業がM&Aを行う最大の動機は、時間をお金で買うことにあります。
自社で新卒を採用し、一人前の1級土木施工管理技士や1級建築施工管理技士に育てるには、10年以上の歳月と多額の教育コストがかかります。しかし、M&Aであれば、すでに現場経験豊富な有資格者をまとめて確保できます。これは採用難の現在において、喉から手が出るほど欲しい資産です。
また、東北への新規進出を狙う企業にとっては、M&Aによって即座に地域の入札参加資格や営業拠点、協力会社とのネットワークを手に入れることができます。
建設業M&Aで企業価値を決める評価ポイント
一般的な企業の評価では営業利益が重視されますが、建設業の場合は業界特有の資産や実績が企業価値を大きく左右します。東北ならではの査定ポイントを押さえておきましょう。
経営事項審査(経審)の評点とランク
公共工事を主体とする企業にとって、経営事項審査の総合評定値と、それに基づく入札参加資格ランクは、まさに企業の商品価値そのものです。
買い手は、この会社を買収することで、どのランクの工事に入札できるようになるかをシミュレーションします。例えば、財務内容の良い買い手と合併することで評点が上がり、今まで取れなかった大規模工事の入札資格が得られる場合、そのシナジー効果が見込まれ、実際の利益額以上に高い評価額が付くことがあります。また、工事成績評定点の平均点が高い企業も、技術力の証明としてプラス査定されます。
保有重機・車両と自社ヤードの価値
東北の土木工事、特に山間部や沿岸部の現場では、自社で重機やダンプを保有しているかどうかが機動力を左右します。
リース主体の企業に比べ、自社で重機を保有し、それらを保管・整備できる広大なヤードを持っている企業は、資産価値が高く評価されます。ただし、保有している重機が古すぎて稼働していなかったり、メンテナンスが行き届いていなかったりする場合は、逆に処分費用としてマイナス査定になることもあるため、稼働状況の整理が重要です。
除雪業務の実績と地域貢献度
雪国である東北において、自治体からの除雪業務委託を受けていることは、単なる売上以上の意味を持ちます。
除雪業務自体は利益率が高いわけではありませんが、行政から地域のインフラ維持に不可欠な企業として認定されている証拠であり、長期的な安定受注が見込めると判断されます。また、冬場の閑散期に人員と重機を遊ばせず、固定費をカバーできる収益源を持っている点は、経営の安定性として評価されます。
許認可を確実に引き継ぐためのM&Aスキーム
建設業は許認可ビジネスです。M&Aの手続き中に建設業許可が切れたり、入札参加資格が失効したりすれば、事業価値はゼロになってしまいます。そのため、法的なスキーム(手法)選びは慎重に行う必要があります。
株式譲渡(推奨スキーム)
中小企業のM&Aにおいて、9割以上のケースで採用されるのが株式譲渡です。これは、会社のオーナーが代わるだけで、会社という法人格はそのまま存続する方法です。
法人格が変わらないため、原則として会社が保有している建設業許可や、経審の評点、入札参加資格、過去の工事実績などをそのまま引き継ぐことができます。手続きも比較的簡便で、従業員の雇用契約や取引先との契約も巻き直す必要がありません。
ただし、許可の要件である経営業務の管理責任者や専任技術者となっている役員や従業員が、M&A直後に退職してしまうと、要件を満たせなくなり許可取り消しとなるリスクがあります。そのため、キーマンとなる人物の継続勤務を契約条件に盛り込むことが必須です。
事業譲渡(許認可の取り直しリスク)
「会社の一部門だけを売りたい」「簿外債務のリスクを遮断したい」といった場合に用いられるのが事業譲渡です。
建設業において事業譲渡はハードルが高い手法です。なぜなら、建設業許可は原則として一身専属であり、事業を譲り受ける買い手側で、新たに許可を取り直す必要があるからです(※承継認可制度を活用できる場合もありますが、要件は厳格です)。
許可が下りるまでの数ヶ月間、公共工事の入札に参加できない空白期間が生じる恐れがあり、事業運営に大きな支障をきたす可能性があるため、慎重な検討が必要です。
東北の建設業者が選ぶべきM&A相談先
建設業のM&Aは、一般的なビジネスの売買とは異なり、建設業法や経審の知識が不可欠です。誰に相談するかで、会社の価値が正当に評価されるかどうかが決まります。
建設業界に精通した仲介会社の必要性
未工事支出金の評価や、完成工事基準と進行基準の違い、JV出資分の取り扱いなど、建設業会計は特殊です。
建設業界の知識がない仲介会社やアドバイザーに依頼すると、これらの会計処理を誤って解釈し、本来あるはずの利益や資産価値を見落としてしまうリスクがあります。また、行政処分の履歴や労働災害の記録など、法務リスクのチェックも専門的な視点が求められます。
トラブルなく、適正価格で売却するためには、建設M&Aの実績が豊富な専門家に依頼することが鉄則です。
広域マッチングができるネットワーク
東北の建設会社を最も高く評価してくれる買い手は、必ずしも地元の同業者とは限りません。
例えば、岩手県の企業を、東京都のゼネコンが東北進出の足掛かりとして買収する場合、地元の相場よりも高い金額を提示することがあります。また、日本海側の企業と太平洋側の企業がマッチングすることで、冬場の繁閑差を補完し合い、重機や人員を融通するといったシナジーが生まれることもあります。
こうした戦略的なマッチングを実現するためには、県内だけでなく、全国にネットワークを持つ仲介会社の活用が有効です。
M&A総合研究所が東北の建設業M&Aに強い理由
M&A総合研究所は、建設業界のM&A支援に特化した知見と、東北エリア専任のサポート体制を兼ね備えています。
建設特化の知見による適正査定
建設会社の価値は、決算書の数字だけでは測れません。M&A総合研究所では、在籍する有資格者の種別や年齢構成、経審の評点構造、保有重機の市場価値などを精緻に分析します。
財務諸表には表れない現場力や技術力を正当に評価し、それを論理的に買い手企業へアピールすることで、納得感のある株価を算出します。「経審の点数がこれだけあるなら、もっと評価されるべきだ」といった経営者の感覚を、具体的な金額に落とし込むノウハウを持っています。
(URL: https://masouken.com/ )
AIマッチングによるベストパートナーの選定
東北エリア内での再編だけでなく、東北進出を狙う全国の優良企業を、独自のAIシステムで網羅的に探索します。
「地銀の紹介では同業者しか出てこなかった」という場合でも、当社のネットワークなら、異業種や遠隔地の予想外の買い手が見つかる可能性があります。選択肢を広げることで、より良い条件での成約を目指します。
(URL: https://touhoku-ma.com/ )
完全成功報酬制で安心
「相談だけで着手金を取られるのは困る」という東北の堅実な経営者様のために、完全成功報酬制を採用しています。
着手金や中間金は一切無料です。まずは「自社の評価額を知りたい」「どのような買い手がいるか確認したい」という段階から、リスクなくご相談いただけます。成約するまで費用は発生しません。
東北エリアの建設業M&A成功事例
実際にM&Aを決断し、事業の存続と成長を実現した東北の建設関連企業の事例をご紹介します。
【宮城県・建設関連】東北三上機材株式会社|震災復興から次の成長へ
宮城県仙台市でクサビ式足場工事やポータルサイト運営を手掛ける東北三上機材株式会社の事例です。中川社長は、震災復興需要を背景に会社を急成長させましたが、復興後の市場環境を見据え、さらなる事業拡大には大手資本との提携が必要だと判断しました。
買い手となったのは、岐阜県の仮設資材メーカー、株式会社エヌ・エス・ピーです。メーカー機能を持つ同社グループに入ることで、資材調達のコストダウンと安定供給が可能になりました。これは後継者がいないから仕方なく売るのではなく、成長意欲のある若手経営者が、事業を加速させるために選んだ成長戦略型M&Aの成功モデルです。
【岩手県・建設業】株式会社小田島組|M&Aで地域インフラを守る買い手の戦略
岩手県花巻市に本社を置く株式会社小田島組の事例です。同社は買い手として、後継者不在に悩む地域の建設会社を積極的に譲り受けています。
小田島社長の理念は地図に残る仕事を守ること。M&Aを通じてグループ会社を増やし、バックオフィス業務の共通化や技術者の交流を進めることで、地域全体の施工能力を維持しています。東北には、このように「地域を一緒に守ろう」という高い志を持つ優良な買い手企業が存在します。売り手にとっても、地元の信頼できる企業グループに入ることは、従業員や取引先への何よりの安心材料となります。
売却前に準備すべきチェックリスト
少しでも高く、そしてトラブルなく会社を売却するためには、事前の準備が欠かせません。今からできるチェック項目を整理しました。
未成工事支出金と在庫の適正化
決算書上の未成工事支出金や材料貯蔵品の数字が、実態と合っているか確認してください。
すでに完了した工事の原価が残っていたり、使えない資材が資産計上されていたりすると、デューデリジェンスで指摘され、信用を失う原因になります。実地棚卸を行い、不要なものは損失処理をしてでも整理し、クリーンな決算書にしておくことが重要です。
労務管理と社会保険加入
建設業界では、職人の社会保険加入が厳格化されています。未加入の作業員がいる場合、公共工事の現場に入れないなどのリスクがあるため、M&Aのマイナス査定になります。
また、建設キャリアアップシステムへの登録状況や、残業時間の管理体制も重要なチェック項目です。法令遵守の姿勢を見せることが、買い手からの信頼獲得に繋がります。
名義株・所在不明株主の整理
創業の古い建設会社によくあるのが、「昔、付き合いで親戚や知人に株を持ってもらった」という名義株の問題です。
株主名簿に載っている株主と連絡がつかない場合、M&Aの手続きが進められません。所在不明株主がいる場合は、法的な手続きを経て整理するか、事前に買い取り交渉を行い、株式を社長や親族に集約しておく必要があります。
まとめ
東北の建設業界におけるM&Aは、もはや特別な出来事ではなく、会社を存続させるための現実的な経営戦略です。
人手不足や2024年問題といった荒波を乗り越えるためには、自社の技術力や許認可という価値を正しく評価し、それを必要としているパートナーと手を組むことが有効な解決策となります。廃業を考える前に、まずは自社にどれだけの価値があるのか、専門家の査定を受けてみてください。その一歩が、地域のインフラと従業員の生活を守ることに繋がります。
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